正社員、派遣社員、契約社員の違い
平成26年9月末時点で、企業や団体に雇用されている人は5,600万人。その中で正社員(正規従業員)は3,305万人、派遣・契約などの非正規従業員は1,948万人となっています(総務省統計局「労働力調査」平26.9末)。雇用者の約3分の1が非正規社員という状況の中、正社員だけが雇用の形とは限りません。
今回は、正社員、派遣社員、契約社員それぞれの違いやメリットやデメリットをご紹介していきます。
なぜ企業は「正社員」「派遣社員」「契約社員」という形で、人を雇用するのか?
一般的に、「正社員」「派遣社員」「契約社員」は、次のように区別されます。
正社員
企業と正式に雇用契約を結んだ、期間を決めない労働者(ただし一般的特徴であり、法律で規定されたものではない)
終身雇用になる場合も多く、一般的に昇給・昇進・異動がある。
派遣社員
人材派遣業者を通じて一定期間の雇用契約を結んだ労働者。
主として時給契約で所定の業務をこなす。契約期間の上限は3年。
契約社員
企業と直接契約で一定期間の雇用契約を結んだ労働者
比較的専門度の高い業務をこなす。契約期間の上限は3年(厚生労働大臣の定めた基準による特例あり)。
企業が人を雇う場合、賃金の支払いの他に、「労働基準法」「労働安全衛生法」「労災保険法」等の法律に従って、労働保険や社会保険への加入や、労働者の福利厚生環境を整える義務が生じます。
これらにかかる費用は、企業の経済的負担になります。そのため企業は、人員の一部を派遣社員や契約社員にすることで、経営が悪化した時や、事業内容が変化した際に労働力を調整しやすくしています。
自分のキャリアプランを持って、社員レベルを選択しよう
「正社員」「派遣社員」「契約社員」という区分けは、企業にだけ都合のいいものではありません。職場に長期拘束されたくない人、得意な業務に特化して働きたい人の場合は、契約社員や派遣社員の方が、責任範囲が限定されて好都合かもしれません。
雇用の安定と待遇を求めるならば「正社員」
〇正社員のメリット
一般的に日本企業の場合、正社員は期間を定めない契約で働くことができます。終身雇用になる企業も多く、昇給・昇進の機会もあるので、経済的安定が見込めます。社会保険や福利厚生等の待遇も、正社員の方が充実する傾向にあります。
〇正社員のデメリット
「正社員」という身分は、法的に規定されたものではありません。業務内容も雇用契約に基づいて決まるので、雑用が多い、拘束時間が長い、時給換算で契約社員や派遣社員より賃金が低い、ノルマが厳しいといった問題が起きる場合があります。
時間の自由度、範囲内の業務を求めるならば「派遣社員」
〇派遣社員のメリット
3ヵ月~12ヵ月程度の期間契約で、更新ができる場合もあります。業務範囲や労働時間が明確に決まっているので、雑用がない、能力が生かせるなどのメリットがあります。比較的自己都合に合わせて働けるので、子育てや介護の事情がある人も働けます。
〇派遣社員のデメリット
契約終了後の更新保証がなく、収入が不安定です。労組に属さないので、労働保険など待遇に差がつけられるケースが多く見られます。主に時給で勤務するため、社員同様に勤務しても賃金差が出る場合があります。
「派遣社員」から「正社員」へ
派遣社員の契約期間の上限は3年。企業がこれを超えて雇う場合は、正社員に登用することが法律で義務付けられています。派遣社員は正社員よりも採用の難易度が低いので、派遣社員から始めて正社員になるのも1つの方法と言えるかもしれません。
経験の少ない業種でも採用されやすい「契約社員」
〇契約社員のメリット
企業対個人の契約による雇用なので、専門性や技術力次第では、高給・好条件で働くことができます。さらに、契約次第ではダブルワークも可能です。スキルがあれば経験のない業種でも採用される事も多く、キャリア・アップに利用できます。
〇契約社員のデメリット
専門度の高い業務をこなしても、原則的に昇給・昇進がありません。契約内容が企業側に偏重していても、労組に属さないので改善要求が出来ません。契約期間終了後の保証がなく、収入が不安定になりがちです。
以上のような、正社員、派遣社員、契約社員、それぞれのメリット・デメリットをきちんと知って、自分がどんな働き方をしたいのかと合わせて考えてみることが重要です。